2013年6月15日土曜日

モーツアルトの出勤

ウィーンで一番印象に残ったのはなんだろう?
1ヶ月程経った今、改めて振り返ってみる。

建物、歴史、街並み。
思い出してみるとキリが無いくらいの衝撃。
その中で一番これは!と強く印象に残っていることと言うと「モーツアルトの出勤」かな。

泊まったホテルの前にはオペラ座がある。
http://www.wiener-staatsoper.at/Content.Node/home/Startseite-Content.de.php

ここは第一次世界大戦。
オーストリアが枢軸国として敗戦した戦争で全壊した場所だ。
現在は復元され、その後は今も様々な演劇やコンサートの会場として使用されている。

で、そこには楽友協会なのかダフ屋さんなのかわからないんだけど、手売りでチケットを販売。
なので日本人が通りがかると「コンニチハ、コンバンワ、オ元気デスカー?ワタシ日本大好キヨー」と怪しげな日本語が投げかけられる。

その人たちの格好がまるでモーツアルトなのだ。

白髪のカツラに...大人し目のタケちゃんマン?みたいな上着にスパッツのような格好。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=7WCyTht60bM

よくわからないんだけど、そんな人たちが毎日のように余ったチケットを売っていた。
でも取り締ったりしてないみたいだからちゃんとした仕事なのかな...

朝の9時ころ、彼らは急に現れる。

普段どこで着替えてるんだろ?と疑問に思っていたのだけど、売り子をする格好。
そのままで地下鉄のエスカレーターをそのまま上がってきたのだ。
隣のトラム(路面列車)の駅方向からも数人やってくる。

中世みたいな街中を現代人が歩く中、自然な顔してモーツアルトが歩いているのだから驚く。

日本で言うと仮面ライダーショーの出演者が家から仮面ライダーで来るみたいな感じだろうか。
それとも家から侍や忍者が映画村に出向くような?

しかしそれがさも自然で、本人たちからまったく違和感を感じない。
むしろ驚いていた私が変なのかな、という気分さえしてくる。

彼らだけでなく、観光用の馬車(フィアカー)も朝になるとその姿のまま「出勤」してくるのだ。
http://www.wien.info/ja/sightseeing/fiaker-horse-drawn-carriage

車道をカッポカッポと進む馬車。
もちろん右折や左折も自動車と同じように行うし、しっかりナンバーもついていた。

彼らにとってはそれが作業服であり制服であるわけだから、それがきっと自然なのだろう。

でも私には街並みや美術品達以上に衝撃を受けた出来事だった。
状況を考える限りではまあ確かに、とは思うものの...

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